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点検NYダウ最高値(下)自社株買いが押し上げ(日経新聞2006/10/07)

相場観

オイルマネー、海外から流入
 約六年九カ月ぶりに最高値を更新したダウ工業株三十種平均。企業業績の改善と並んで株価を押し上げたのは、企業の自社株買い、オイルマネーをはじめとする海外勢による投資など「買い手」の潤沢な資金だ。
 二〇〇〇年に高値を付けた局面では、ベビーブーマーの確定拠出年金(401k)や投資信託など米国の投資家が主な買い手となり、ハイテク株を中心に買い上げた。今回は資金フローが大きく変わっている。
 〇六年上半期の自社株買い額は、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)主要五百社で二千百六十八億ドルと前年同期から三三%増えた。年間で過去最高になるのは確実だ。S&Pのハワード・シルバーブラット主任アナリストは「エンロン事件などの企業統治スキャンダルをきっかけに、企業経営者が株主還元を改めて意識した」と指摘する。
 〇六年上半期は配当額も一〇%増の千七十七億ドルと過去最高を更新した。上半期にS&P五百社が稼ぎ出した利益は三千五百九十五億ドルだから、自社株買いと合わせると、もうけの約九割に相当する資金を株主に還元したことになる。〇三年上半期の株主還元率(自社株買いと配当金の合計額が利益に占める比率)は約六割だった。
 オイルマネーなど海外の買い手からの資金流入も膨らんだ。米財務省によると、新興市場からの資金流出を横目に、今年一―七月に海外勢が米国株を買い越した額は約七百三十億ドルと前年同期の二・三倍に拡大。こうした資金がグローバルに事業展開する有力企業の株式に流れ込み、ダウ最高値更新に一役買ったといえる。
 ただ、高い株主還元率は「稼いだ利益を次のビジネスに向けて再投資する」という成長戦略を企業が十分に描き切れていないことの裏返しとも受け取れる。オイルマネーにとって原油高が米国株投資の原動力となっていただけに、最近の原油価格下落が買いの勢いを鈍らせる可能性も出ている。

2006年10月07日