2010年02月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28            

今週のマーケット(日経新聞2006/11/05)

相場観

株式―買い材料乏しく弱含み
 今週の株式相場は弱含みの展開か。米国株の上値が重いうえ、二〇〇七年三月期の業績見通しを上方修正する企業も少ない。過去最高水準にある裁定買い残も重しとなり、内外投資家の間で積極的に上値を追う機運は乏しい。ただ、好業績の国際優良株に対して押し目買いスタンスを取る投資家も多く、一本調子の相場下落も想定しにくい。
 前週の日経平均株価は週間で三一九円(一・九%)下落した。米株安に加え、企業が今通期の業績見通しに慎重なことも嫌気され、利益確定売りが先行した。
 今週は通期業績が上方修正されそうなトヨタ自動車のほか、武田薬品工業や三菱地所、伊勢丹など内需関連企業の九月中間決算発表が相次ぐ。先行きを強気にみる企業が多ければ株価に好材料となるが、「前年同期が好調だった反動で今下期の増益率は伸び悩むとみる企業が多い」(米系運用会社)となれば、相場全体の底上げは見込めない。
 十日発表の九月の機械受注統計への関心も高い。船舶・電力を除く民需は市場の予測平均値が前月比プラス二・一%。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「市場予想を下回った消費や雇用の指標に続き悪い数字が出れば、不安感が広がる」と警鐘を鳴らす。ただ「予想外に良ければ機械株などに見直し買いが入る」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之取締役)との声もある。
 米株が一時の勢いを失い外国人投資家のリスク許容度が低下したほか、個人投資家も「相場の方向感が出ないうちは様子見を続けそう」(マネックス証券)。上値を追う動きが不在のなか、「国際優良株中心に押し目買い意欲は強い」(損保ジャパン・アセットマネジメント)国内機関投資家が相場の下支え役を果たせるかが焦点になる。
 過去最高の五兆円台まで積み上がった裁定買い残の解消売りも警戒される。株価指数オプション十一月物の特別清算指数(SQ)算出を週末に控え、先物に仕掛け的な売りが出れば相場の下げをきつくしそうだ。
1万6000円割れも
 矢萩 正弘氏(CLSA証券セールス・トレーダー)
 期待に反し通期業績予想を据え置く企業が多く、空売りを仕掛ける投資家が勢いづいている。日経平均株価は日柄調整が続き、一時1万6000円を割り込む可能性も。
裁定買い残を警戒
 清川 鉉徳氏(フォルティス・インベストメンツ・ジャパンディレクター)
 過去最高水準の裁定買い残を警戒して買いを手控える投資家は多い。物色の柱も定まらず、方向感に乏しい相場となりそうだ。
戻りを試す展開
 佐藤 雅彦氏(野村証券エクイティ・マーケットアナリスト)
 前週後半は相場が急落後、持ち直す場面が目立った。好業績銘柄を中心に投資家の押し目買い意欲は強い。目先は自律反発狙いの買いが先行し戻りを試す展開に。

NY株―米中間選挙で変動
 今週の米株式相場は七日の中間選挙を境に株価に変動がありそうだ。歴史的に米国の投資家は選挙前は売買を手控え、投票日後に動く傾向がある。
 ダウ工業株三十種平均は先週末の終値で一万二〇〇〇ドルの大台を割り込み、八月から一本調子に上げた株価に一服感が出た。全米サプライマネジメント協会のISM指数が五一・二と市場予想(五三・〇)を大きく下回り、企業の景況感に陰りが出た。失業率が四・四%と五年ぶりの低水準になり、インフレ警戒感が台頭している。
 九日の卸売り在庫統計は企業の先行きの景況感を読み取る上で注目だ。インテルなど大企業で新規投資を手控える動きがあり、在庫縮小も進んでいる可能性がある。九日発表の輸入物価統計ではインフレ懸念が意識されそうだ。
 中間選挙で民主党が多数派となると、大企業に不利になりかねない。石油関連企業への課税強化や、薬価引き下げによる製薬会社への影響が指摘されている。ただ代替燃料やジェネリック医薬品などプラスの要素もあり、株式相場全体への影響は計りにくい。

為替―米景気懸念薄れ、円弱含み
 今週の円相場はやや弱含みでもみ合いながら推移しそうだ。前週末発表の十月の米雇用統計で失業率が改善したことなどを受け、米景気の後退懸念が薄らいだためだ。市場参加者の予想は一ドル=一一六―一一九円台が中心となっている。
 今週は、雇用統計で米景気の底堅さが意識されたことで、日米の金利差に注目した円売り・ドル買いがやや優勢になるとの見方が多い。国内個人投資家の外債への投資意欲も旺盛で、それに伴いドル買い圧力が強まる局面もありそうだ。ただ、米景気の後退懸念が払拭(ふっしょく)されたわけではないため、一本調子の円安・ドル高を予想する声も少ない。
 今週は七日の米中間選挙への関心が高い。市場参加者の間では、共和党が下院で過半数を割り込むと「現政権の議会運営が困難になる」との見方から、この局面では円買い・ドル売りが入ると見込まれている。
 国内では十日に九月の機械受注統計の発表がある。市場予想の平均は前月比で二%台のプラスだが、市場予想を下回れば円売り・ドル買いが加速する可能性もある。
ドル売り限定的
 久保 信明氏(BBHインベストメント・サービス外国為替部バイスプレジデント)
 米中間選挙前後で、ブッシュ政権の政策運営に対する不透明感からドルが売られる局面。ただ円を積極的に買い進める状況にもなくドル売りは限定的とみる。
対ドル方向感出にくく
 飯塚 長生氏(住友信託銀行マーケットメイクユニット主任調査役)
 円相場は、対ドルでは明確な方向感が出にくい。対ユーロやオーストラリアドルなどでの円売りが対ドルの相場に影響する。それに伴い緩やかに円安が進むとみている。
福井総裁発言が材料に
 佐原 満氏(三菱東京UFJ銀行市場業務部上席調査役)
 円は弱含みの推移となっているなか、今週は7日の福井日銀総裁の講演が相場の材料となろう。年内の追加利上げを示唆するような発言から円買いが入る可能性がある。

金利
 今週の長期金利は金利低下が一服し、軟調な展開となりそうだ。注目点は七日の福井俊彦日銀総裁の講演。十月末の経済・物価情勢の展望(展望リポート)発表後の会見で福井総裁が年内利上げの可能性を否定しなかったことで、再び早期の追加利上げ懸念が高まる可能性がある。
 財務省は七日に新発十年物国債入札を実施する予定。経済指標では九日発表の景気ウオッチャー調査や十日発表の機械受注が材料となりそうだ。七日の米中間選挙を受けて米長期金利の低下が進めば、国内相場に影響する可能性もある。

2006年11月05日