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会計士の監査先再就職、グループ企業も禁止(日経新聞2007/02/17)

公認会計士の職業倫理

癒着防止へ金融庁方針
 金融庁が今国会に提出予定の公認会計士法改正案の概要が明らかになった。監査法人が上場企業と癒着するのを防ぐのが柱の一つで、会計士が監査先のグループ企業へ再就職することを原則として禁止する。大規模監査法人の監査責任者が同一企業を継続して監査できる期間を七年から五年に短縮し、違反した場合は行政処分の対象にする。不正会計問題が後を絶たないため、監査法人への規制を強化し信用の回復を促す。
 金融庁は与党の審査を経て、三月にも法案を通常国会に提出する予定。順調にいけば二〇〇八年度にも施行される。会計士の再就職制限は、現在の規定では監査先企業に限定している。新ルールではその親会社や子会社、関連会社などグループ全体に拡大する。監査法人の出資者である「社員」だけでなく、一般の会計士にも適用する。再就職を制限する企業のポストは取締役や監査役など中枢幹部。企業の間では社外監査役や社外取締役として会計士への需要は根強く、日本公認会計士協会に登録している会計士のうち、企業に在籍する人は数百人に上る。
 同一企業を長期間、監査し続けるのを禁じる会計士の交代制の対象となるのは、あずさ、新日本、トーマツ、みすず、あらたなど大規模な監査法人に所属する「主任会計士」。非上場の企業を担当する場合は現在の七年で据え置くが、上場企業は五年に短縮する。
 新規上場企業を担当する場合は一段と厳しく、数年に短縮する方向。ライブドアのように新興企業で粉飾決算事件を起こす企業が増えていることを踏まえ、厳格なルールにする。

会計士法の改正、中小事務所の再編促す
 金融庁が公認会計士の再就職制限や継続監査期間の短縮など包括的な監査厳格化を打ち出すのは、上場企業の八割以上の監査を手掛ける大手監査法人の監査の品質を確保するだけでなく、組織的な監査体制の整っていない小規模監査事務所の再編を促して、監査水準の底上げを目指す狙いもある。
 二〇〇五年にカネボウの粉飾決算事件に絡んで会計士が逮捕されたことを受け、日本公認会計士協会は大手監査法人に上場企業の監査を受け持つ主任会計士の継続監査期間の短縮を要請。大手監査法人は〇六年度から、米国と同じく継続期間五年、インターバル期間五年のルールを導入した。だが小規模事務所や個人会計事務所については交代要員を確保するのが容易ではなく、法的に免除されているのが実態だ。
 監査不祥事が相次ぐなか、会計士業界では上場企業に対する監査の品質を高いレベルに保つことが至上命題となっている。今回の会計士法改正は小規模事務所の合従連衡のきっかけとなる公算が大きい。

2007年02月17日