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日経平均、一時700円超下げ(日経夕刊2007/02/28)

材料

中国株の急落引き金
NY株も416ドル安
 二十八日午前の東京株式市場で日経平均株価が急落し一万八〇〇〇円を下回った。下げ幅は一時前日比七三七円(四%)と取引時間中としては二〇〇六年一月十八日のライブドア・ショック(七四六円安)以来の大きさになった。前日の中国株が大幅安になったことを発端に欧米株も急落し、世界株安連鎖の様相が強まった。日興コーディアルグループ株の上場廃止見通しも動揺を広げ、東京証券取引所第一部上場銘柄の九九%が値下がりする全面安となった。円相場は急伸し、「円借り取引」を支えとした世界的な投機資金の流れに変調の兆しが見え始めた。
 株式市場では取引開始直後から全面安の展開となった。外国人や個人投資家の売りが殺到し、トヨタ自動車やキヤノンなどの主力株も買い手不在のまま取引が成立しない状態で始まった。東証が上場廃止に向け最終調整に入ったと伝わった日興コーディアルグループは値幅制限の下限(ストップ安)まで一時下落した。
 午後一時現在の日経平均は前日比五九一円一八銭(三・二六%)安の一万七五二八円七四銭。
 相場を支えてきた米景気や円安が変調をきたしたとの見方が広がり投資心理が動揺。急ピッチの上昇に対する警戒感も重なり「海外勢を中心に一斉に利益確定売りや取引を手じまう動きが相次いだ」(UBS証券の平川昇二チーフストラテジスト)という。
 東証は東証株価指数(TOPIX)先物があらかじめ規定した下落幅を超えたため、投資家に冷静な投資行動を促す必要があると判断。一部取引を午前九時七分から十五分間停止する「サーキットブレーカー」を発動した。
 債券市場では長期金利が低下(債券価格が上昇)した。代表的な指標である新発十年物国債利回りは一時前日比〇・〇四五%低い一・五九〇%と、〇六年十二月二十七日以来の水準に低下した。
【ニューヨーク】
 二十七日の米国株式相場は急落した。ダウ工業株三十種平均は前日比四一六ドル二セント(三・三%)安の一万二二一六ドル二四セントで取引を終え、二〇〇一年九月の同時テロ事件直後以来の大幅安となった。
 ニューヨーク証券取引所は大口取引の一部を停止する異例の措置をとった。市場では世界景気の減速懸念が再燃、投資資金はいったん債券など安全資産に逃避している。
 ダウ平均の三十の構成銘柄すべてが一%以上下落。ゼネラル・モーターズ(GM)、ウォルト・ディズニーが五%超下げた。ダウ平均の下げ幅は一時、五〇〇ドルを超え、同時テロ後の〇一年九月十七日(六八四ドル安)以来、最大の下げ幅を記録した。
 ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も同九六・六六ポイント安の二四〇七・八六と、全面安となった。
 二十七日の上海株下落を受けたアジア・欧州株の下げが波及。さらに朝方発表された一月の耐久財受注が大幅なマイナスとなり、設備投資の鈍化など景気減速を材料とした売りが膨らんだ。
 ダウ平均の下落率は最大で四%超となった。ニューヨーク証取が全銘柄を対象に取引を一時停止する一〇%には達しなかったが、先物との裁定取引にともなう現物株のプログラム売買を停止する「二%」基準を超えた。午後一時過ぎ、この取引制限措置(サーキットブレーカー制度)が発動されたことも、売りを誘った。
 債券市場では利下げ観測が浮上し、終日、買いが優勢となった。米長期金利は一日で〇・一二%低下し四・五一%と、昨年十二月初め以来の水準となった。

上海株は続落後、小幅高に転じる
【上海】
 二十七日に大幅下落して世界的な株安の引き金となった中国の株式相場は二十八日も続落して始まった。上海総合株価指数は前日比三七・一九(一・三%)安い二七三四・六〇での寄り付き後、買い戻しがやや優勢となっている。正午(日本時間午後一時)時点では同六・八八高い二七七八・六七。

中国発の世界株安
「余震は続く」警戒の声
 二十八日午前の東京株式市場が全面安になったのは、中国の株価急落を発端にした世界同時株安に巻き込まれたためだ。日経平均株価は年初来の上げ幅の四分の三を失い、「余震は続く」(三菱UFJ証券の白木豊シニアストラテジスト)との声もある。目算の狂ったヘッジファンドなども多く、世界の投資資金は再び安全志向を強めていく可能性がある。
「反動」の見方も
 株安の発端は二十七日に中国の上海総合株価指数が前日比二六八ポイント安(八・八%安)と過去最大の下落を記録したこと。上海株式市場の時価総額は東京の四分の一程度に過ぎないが、そこに中国経済の変調を見た世界の投資家が欧州、米国、日本と世界中の市場で株式の現金化を急いだ。
 中国株の急落はこの一年間で二倍以上急騰した反動との見方も強い。しかし、最近は中国経済の一時的な減速を示す経済指標が発表されたり、五日に始まる全国人民代表大会(全人代)の後、中国人民銀行が人民元の一日の変動幅を広げるとの観測が出たりするなど、投資家が神経質になる要因も増えていた。
 世界の株価が中国発で急落するのは初めて。世界的に景気拡大が長期化し、「多くの市場で楽観論から過熱感も強まっていた」(クレディ・スイス証券の市川真一チーフストラテジスト)ため、ちょっとしたことが株価下落に結びつきやすかったという事情もある。
 二十一日に日銀が追加利上げをし、円建てでお金を借りて世界の株式や商品を買っていたヘッジファンドが資金調達コストの上昇に警戒感を強めてもいた。ただ、直接投資と間接投資の両面で世界のお金を集め、知恵や人材も吸い寄せてきた中国経済が、世界に大きな影響力を持ち始めた表れであるのは確かだ。
「日本株崩れず」
 日経平均の下落が海外発の点では「一九八七年十月のブラックマンデー(暗黒の月曜日)型の下げ」(SATOアセットマネジメントの佐藤博代表)との声もある。日経平均は年初から二十六日の高値一万八二一五円まで約一〇〇〇円上げ、上昇率は五・八%と主要市場ではドイツに次いで高かった。スピードが速かった分、この日の下落幅も大きくなった。
 不正会計を犯した日興コーディアルグループ株式の上場廃止が検討されていることも、不安感を誘った。しばらくは世界的に調整局面に入る可能性もあるが、東京市場に関しては「日本の経済実態から考えて高値から一割程度の下げはあっても、がたがたと崩れるような状況ではない」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との見方もある。

円、一時117円台、2ヵ月半ぶり高値
 二十八日の東京外国為替市場で円相場は大幅に上昇した。一時、前日終値比二円の円高・ドル安となる一ドル=一一七円九三銭まで上昇。約二カ月半ぶりの高値を付けた。米国株の下落で米景気の先行き不透明感が再び浮上し、急速な円買い・ドル売りにつながっている。
 「低金利の円で資金を調達してドル建て資産などに投資する『円借り取引』の巻き戻しも進んだ」(ソシエテジェネラル銀行)という。円はユーロに対しても一ユーロ=一五六円台前半まで上昇した。

2007年02月28日