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会計士ら処分、審議停滞(日経新聞2007/07/03)

公認会計士の職業倫理

昨年度、23件中、決着2件のみ
 企業による粉飾決算を見抜けなかった会計士などに対する処分を決める日本公認会計士協会の審議が滞っている。二〇〇六年度の審議件数は前の年度に比べ二件増の二十三件だったが、このうち処分が決まったのは二件にとどまった。相次ぐ監査不祥事の発生に協会の審議が追いつかない状況だ。会計士協会の審議が長引けば企業側の監査体制の整備の遅れをもたらしかねず、処分決定の迅速化が求められている。
 〇六年度に新規の審議対象となったのはライブドアやグローバリー、ペイントハウスの会計問題など九件。前の年度から引き継いだ案件と合わせると二十三件と、四年連続で二十件超の高水準となった。今年度に入り、新たに日興コーディアルグループの不正会計問題や、足利銀行の粉飾決算事件などが綱紀案件として加わったもよう。
 会計士協会は不祥事を起こした会計士について金融庁に行政処分を請求するなど、会則上の懲戒処分権限を持つ。原則として一年以内に結論を出すことを目標に、〇五年十月に従来の綱紀委員会を改組。弁護士や学者など外部の有識者を入れた綱紀審査会を設置したが、民事裁判などに影響するのを懸念して審査が遅れる例が目立っている。
 九七年に経営破綻した旧山一証券の粉飾決算事件の監査では、今年度に入って「問題はなかった」との結論を出したが、決定までに十年かかった格好。巨額の簿外債務を見抜くのは困難だったと判断したためという。
 綱紀が遅れる背景には、審査会の負担増がある。会計士協会の運営はボランティアに依存する部分が大きい。審査会を開催できる回数が限られていることなどから、各案件を詳細に審査しにくい状況だ。
 審査にあたって入手できる資料なども限られ、司法当局の判断が出る前に独自の処分を出すのは難しいという。

2007年07月03日