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リスク開示、17社増え39社(日経新聞2007/07/18)

会計基準関係

07年3月期、経営存続が困難な可能性
 経営の存続にかかわる重大なリスクを開示する企業が増えている。二〇〇七年三月期の有価証券報告書で「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」を記載した上場企業(新興市場を除く)は、前の期に比べ十七社増の三十九社となったことが日本経済新聞社の集計で分かった。増加に転じたのは開示制度が始まった〇三年三月期以降で初めて。監査法人が監査を厳格化していることが背景にある。
監査の厳格化が影響
 〇七年三月期から新たに開示したのは二十四社。消費期限切れ原料の使用問題に揺れた不二家は、工場の操業停止や販売店の営業休止が響き八十億円の連結最終赤字を計上。オリエントコーポレーションは、利息返還請求への引当金の積み増しなどで期末に債務超過となったことを理由に存続リスクを記載した。
 またラオックスやダイア建設、ロプロ、イクヨなどは、資金借入先の金融機関と交わした「財務制限条項」が定める自己資本比率や営業損益などの経営目標を達成できなかったとして、目先の運転資金が不足する可能性を示した。
 〇六年三月期に続き存続リスクを開示したのは十五社。三洋電機、日立造船のほか、連結最終損益が四期ぶりに黒字転換した三菱自動車も含まれる。一方、不二サッシ、ティアック、TOWAなど七社は財務体質の改善などを理由に今回からリスクの記載を外した。
 有価証券報告書や決算短信などを通じたゴーイングコンサーンに関する注記は、開示初年度の四十二社をピークに〇六年三月期まで減少の一途をたどっていたが、〇七年三月期に初の増加となった。背景にあるのは監査法人による監査の厳格化。経営者が開示する形式となっているが、「実際は公認会計士の意向が強く働いている」(リスクを開示した企業の財務担当役員)。リスクの記載に関する判断基準に幅があるため、注記の記載判断について分かりやすい説明が求められそうだ。
▼継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)
 企業が将来にわたって事業を続けることを前提とした会計上の考え方。企業の財務諸表は通常、無期限に事業を継続することを前提に作成されている。
 しかし業績不振などで財務体質が極端に悪化し、企業の存続が困難になる可能性が生じた場合、企業は有価証券報告書や決算短信にゴーイングコンサーンに関する「疑義」を記載し、投資家に注意を促す。

2007年07月18日