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監査コスト膨らむ(日経新聞2007/07/11)

公認会計士の職業倫理

主要上場企業
前3月期47%増、厳格化映す
会計士の作業増加
 企業の監査コストが急増している。主要上場企業二百八十八社が二〇〇七年三月期に支払った監査報酬は合計六百二十五億円と前の期に比べ四七%増えた。会計・監査不信を背景に監査を厳格化する動きが広がり、会計士の作業時間が増えているためだ。
■目立つ米基準企業
 三月期決算の上場企業のうち、三月期末時点の時価総額上位三百社の有価証券報告書を調べ、前の期と比較可能な二百八十八社を集計した。監査報酬は、企業が作成した決算書類の正しさを証明するために監査法人に支払う費用。〇六年三月期の増加率は二六%で、前期の増加率はこれを上回った。
 なかでも増加が大きかったのは日立製作所やNTTなど米国会計基準で決算書類を作成している企業。三十一社合計の監査報酬は七五%増えた。監査報酬が十億円強増えた三井物産は「前期から米国基準で義務付けられた内部統制監査の費用が大きい」(今井和也副社長)と話す。ホンダ、トヨタ自動車はそろって二倍強に急増した。
 日本基準の企業では、監査報酬は二三%増加した。決算を過去二期分訂正した日興コーディアルグループが支払った監査報酬が七千万円から八億六千万円に急増したのが目立つ。二期連続で最終赤字となった日本航空も二億四千万円から三億円に増えた。
■「内部統制」を義務化
 〇八年度からは、企業が粉飾決算を未然に防止する社内の管理体制を報告書にまとめ、監査法人の監査を受ける「内部統制ルール」が日本でも全上場企業に義務付けられる。青山学院大学大学院の八田進二教授は「今後は内部統制関連の監査費用が確実に膨らむだろう」とみる。内部統制では監査報酬に加え、システム導入などの費用も発生するため、企業の収益を圧迫しそうだ。
 もっとも、日本企業が支払う監査報酬は米国に比べると少なく、監査時間で二分の一、監査報酬で四分の一という調査結果もある。金融市場に詳しい千葉商科大学の斉藤寿彦教授は「不十分な監査は企業の存続にもかかわる。監査の質を向上させるため、企業には相応の負担が求められる」と指摘する。

2007年07月11日