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会計士、苦肉の増加策(日経新聞2007/07/13)

公認会計士の職業倫理

 金融庁傘下の公認会計士・監査審査会が会計士育成に本格的に取り組み始めた。外部の有識者を交え、十月までに会計士試験の合格者増加策を打ち出す。ただ、法改正を伴う抜本的な解決策に踏み込めず、苦悩している。弁護士などに人気が押され気味で、目標通り会計士人口を広げられるか、視界は不良だ。
 監査審査会は二〇〇四年四月に発足し、監査法人・会計士を監督検査するほか、会計士試験を主催する。議論の場となるのは今月設置した「公認会計士試験実施検討グループ」。学識経験者や会計士など十八人が参加し、〇八年試験から改善できる点を話し合う。
 初会合で出たアイデアは「試験日を週末にすれば社会人が受験しやすい」「六法を持ち込んだりできれば、受験生の負担が減るのではないか」など。受験しやすい環境づくりが主要で、監査審査会が改善の余地がないか意見を募った結果だ。
 監査厳格化の流れを受け、会計士は市場の番人としての役割に期待が高まっている。ただ、なり手の少なさを問題視する声は根強い。米国の約三十三万人に対し、日本は約一万七千人にとどまる。先の国会で成立した会計士法改正案の付帯決議にも試験制度の改善案を作るよう盛り込まれた。
 監査審査会の取り組みは苦肉の策の感が否めない。〇四年の改正時に試験の回数を少なくするなど制度を大幅に見直したばかり。「効果を見極めている段階で、法改正を伴う制度議論はできない」という。
 単に合格者を増やすこともできない。粉飾決算を見逃さない優秀な会計士を育成する使命があるからだ。
 野党政治家や専門家からは、米国会計士を日本でも自由に働けるよう「資格の相互承認」を実施したり、「二級会計士」を新設し大幅増員を目指す意見が出ている。ただ、こうした法改正が絡みそうな意見を封印して議論を進めざるを得ないのが実態だ。
 金融審議会(首相の諮問機関)が〇二年に打ち出した目標は一八年度をメドに五万人程度。毎年三千人増やす計算だが、〇六年の合格者は千四百人弱で目標に遠く及ばない。ライバルの司法試験は合格率を大幅に緩和した。監査審査会の苦悩は深まるばかりだ。

2007年07月13日