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監査法人、7割が合併検討(日経新聞2007/09/21)

公認会計士の職業倫理

本社アンケート調査、内部統制制度に備え
 監査法人が会計監査の品質を高めようと体制強化に乗り出している。日本経済新聞の調査によると、規模拡大に向けて合併を検討している監査法人が七割弱にのぼることがわかった。金融庁は監査法人に内部審査機能強化など組織整備を求めている。組織的監査に必要な人員の確保をめざして、中小法人を中心に合従連衡が加速しそうだ。
 調査は八月上旬に全国百七十八の監査法人にアンケートを送付。四十法人から回答を得た。
 監査法人に統合・合併を検討しているかどうか尋ねたところ、二一%が「現在検討中」と回答。「将来的に検討する」も四六%に上った。昨年は太陽とASG、東陽と東都、東京北斗と芹沢会計事務所など中堅クラスの合併が続出。みすず監査法人の解散を契機に大手がさらに巨大化しており、中堅以下の事務所が規模拡大を迫られている姿が浮き彫りとなった。
 採用については、九割が「今後五年間で新人採用を増やす」と答えた。特に新日本、トーマツ、あずさ、あらたの大手法人は今年、新人採用を前年実績比で計二九%増やす計画。上場企業に対して粉飾防止に向けた社内体制整備を求める内部統制制度が導入されるのを控え、支援業務が急増するのに備える。
 来春の改正公認会計士法施行で導入される有限責任組織には二十二社が「移行に向けて検討中」と回答した。有限責任組織では、企業などから損害賠償請求を受けた場合、関与会計士とそれ以外の責任分担が明確になるほか、監査に必要なIT専門家なども積極登用できる利点がある。
 一方、昨年から相次いだ会計不祥事を背景に監査の現場から他業界に人材が流出することへの危機感も高まっている。人材流出についての質問には監査法人の七割超が懸念を示した。

昨年度、3大法人、15%増収
 新日本、トーマツ、あずさの三大監査法人の業務収入は二〇〇六年度に合計千八百五十五億円となり、前の年度に比べ一五%増えたことがアンケート調査で分かった。二ケタ増は二期ぶり。会計基準の改定や監査の厳格化を背景に監査時間が増え、企業から受け取る報酬も増えた。
 監査時間の増加については「企業の理解が徐々に高まりつつある」(トーマツの佐藤良二CEO)という。大手法人はいずれも〇八年度から上場企業を対象に内部統制制度が導入されるのを控えて支援関連業務も増えた。
 利益面ではあずさが新規採用拡大で人件費がかさみ、経常減益だった。新日本は定年を引き下げたことで社員退職慰労引当金が増え、最終赤字となった。
 アンケートによると七割強の監査法人が〇七年度の一企業当たりの報酬は前年度に比べ増える見込みだと回答しており、今後も業務収入の増加傾向が続きそうだ。

2007年09月21日