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インサイダー取引、課徴金、実質引き上げ(日経新聞2007/12/06)

不適切な会計処理

インサイダー取引、課徴金、実質引き上げ
金融庁、計算法の変更検討
出頭命令制度を導入
 金融庁は五日、インサイダー取引などにかける課徴金の計算方法を変更し、違反者が実際に得た利益をきちんと没収できるよう制度改正する検討に入った。課徴金額を実質的に大幅に引き上げ、抑止効果を高める狙い。有価証券報告書などの開示書類については、虚偽記載だけでなく不提出の場合も課徴金をかけられるようにする。
 金融庁は七日に開く金融審議会(首相の諮問機関)に、計算方法の変更を含む課徴金制度改正の取りまとめ案を提示。委員の了承を得た上で、来年の通常国会で金融商品取引法の改正を目指す。
 現在のインサイダー取引の課徴金額は、重要事実を公表した翌日の終値を基準に計算する。そのため翌々日以降の株価が上昇した局面で違反者が利益を確定すると、課徴金額よりも多くの利益を得ることになる。実際、過去の事例では違反者が実際に得た利益は、課徴金額の平均二倍程度になっている。
 金融庁は実態に合わせるため、翌々日以降の株価変動も課徴金額に反映されるように計算方法を変更する。風説の流布や偽計に対しても、不法行為の影響で変動した株価を課徴金算定の基準とする。多くの委員が求めていた制裁機能の付加は見送る方向だ。
 課徴金を科す対象も大幅に拡大する。有価証券報告書や届け出書を提出しない場合のほか、TOB(株式公開買い付け)の届け出書や大量保有報告書の虚偽記載・不提出も加える。株価の維持を目的とした相場操縦なども対象とする。
 違反の当事者や関係者に、証券取引等監視委員会が出頭命令を出せるようにもする。強制的に調査に応じさせる措置を設け、法令違反者が行方をくらますのを防ぐ。
 違反を繰り返した企業や個人には課徴金を加算する一方、自ら違反行為を早期に発見した企業には課徴金を減算する。現在三年となっている時効期間は、五年に延長する方向だ。

課徴金制度改正の主な検討項目
▽水準の実質引き上げ
 ○インサイダー取引で重要事実公表後の翌々日以降の株価上昇分も反映
 ○風説の流布・偽計の影響による株価変動分も反映
▽対象範囲の拡大
 ○有価証券報告書、届け出書の不提出
 ○TOB届け出書、大量保有報告書の虚偽記載・不提出
 ○株価の維持などを目的とした相場操縦
 ○他者の名義で実施した不公正取引
▽加算・減算
 ○違反を繰り返した企業や個人には加算
 ○虚偽記載などを自ら発見して報告した企業などには減算
▽監視委員会の調査機能の強化
 ○関係者への出頭命令の導入
 ○文書の送達場所を違反者に届け出させる措置
▽時効期間の延長
 ○3年→5年に

2007年12月06日