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後入れ先出し法廃止へ(日経新聞2007/12/14)

会計基準関係

原価計算の会計処理
会計基準委
後入れ先出し法廃止へ
 企業会計基準委員会(ASBJ)は企業の原価計算に利用する会計基準のうち「後入れ先出し法」の廃止に向けた議論を始めた。廃止した後も、後入れ先出し法で算出した場合の利益を注記で開示することを含めて検討する。新しい会計基準は早ければ二〇一〇年三月期から適用する見通し。商品市況に業績が左右されやすい石油や非鉄・金属などの一角に影響が出そうだ。
石油・非鉄などに影響
 企業会計基準委は十三日、後入れ先出し法の存続を巡る初会合を開き、廃止作業に着手した。完全廃止を決めた場合も投資家など財務諸表の利用者に配慮して、会計処理による利益計上の違いを比較しやすいように、従来基準で算出した利益を注記で残すことも視野に検討する。〇七年度中にも公開草案を固め、〇八年夏ごろまでに基準を作成する。
 後入れ先出し法を採用している企業は約五十社。化学など資源関連が目立ち、後入れ先出し法から総平均法に変えた場合に収益への影響が出る可能性がある。
 出光興産の〇八年三月期の連結営業利益は七百八十億円と前期比二四%減の見通しだが、総平均法だと千二百四十億円と二一%増になる見込み。秋以降の原油価格上昇で、在庫評価益が四百六十億円発生すると試算されるため。
 今期から総平均法に変更した住友軽金属工業は、〇七年九月中間期の連結営業利益が九十九億円と前年同期比一一%増えた。在庫評価益が約二十億円発生して利益を押し上げた。
 一方で、「期末時点で銅の在庫をほとんど持たないようにしているため、業績への影響は小さい」(フジクラ)との声もある。
 企業会計基準委は国際会計基準理事会(IASB)と一一年六月末までに会計基準を全面共通化することで合意している。後入れ先出し法は国際会計基準では認めていないため、違いの一つに挙げられていた。

▼在庫評価法
 在庫の資産計上には主に、後入れ先出し法、総平均法がある。後入れ先出し法は直近に仕入れた在庫から先に出荷したとみなして計算する。最近の原油高のように短期間で大幅に上昇すると、保有在庫の評価額と時価の乖離(かいり)が大きくなる。
 総平均法は期初の在庫と当期の仕入れ額を合計して平均する。在庫評価額は時価を反映しやすくなる。原材料価格の上昇局面では、期初の割安な在庫を原価に含めるため会計上の原価が下がり、在庫評価益が生じる。逆に下落局面では在庫評価損が発生する。

後入れ先出し法を利用している主な企業
(前期末時点)  
住友化
東邦鉛
三井化学
住友鉱
東燃ゼネ
邦チタ
出光興産
住友電
浜ゴム
フジクラ
ブリヂストン
日立ツール
板硝子
住友電装
JFE
ヤマハ

2007年12月14日