2010年02月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28            

不動産ファンド相場急落、ASSET減益が波及(日経新聞2008/01/12)

相場観

不動産ファンド相場急落
ASSET減益が波及
 この日のASSET株には売り注文が膨らみ、大引けでストップ安比例配分された。終値は前日比二万円安の十一万円。昨年九月二十五日の昨年来安値に迫った。ASSETの下方修正で業績の先行き不透明感が広がり、ダヴィンチ・アドバイザーズやケネディクスといったファンド銘柄にも売りが波及した。
 下方修正の原因は物件の売却先である不動産ファンドが、購入資金を調達できなかったためだ。ASSETはこれまで、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響は小さいと説明してきたが、「出口」につまずく結果となった。金融機関が融資先を選別する動きが、不動産の売却戦略にも影響を与えている。
 十一日にASSETが開いた決算説明会では、資金調達に関する質問が相次いだ。青木巌社長は「昨年十二月に物件を取得した際にも大手の金融機関から融資を受けており、当社の調達力に影響はない」と説明。「六月ごろにはローンの市場が正常化に向かう」と、無理に売り急ぐ必要はないとの考えを示した。今後は売却先の見極めがより重要性を増しそうだ。
 今後の注目点は二月中旬にかけて相次ぐダヴィンチなどファンド企業の決算発表だ。収益見通しが株価の動向を左右しそうだ。「業績拡大を確認して株価に割安感が強まれば、見直す動きが出てくる」(JPモルガン証券の斎藤剛シニアアナリスト)との見方は多い。
 ただ不動産市況の先行きには不透明感が漂い始めており、不良債権処理ビジネスから出発して拡大を続けてきた不動産ファンド業界は選別に向けた大きな節目を迎えている。
 金融機関の不動産融資姿勢の厳格化を受けて、私募ファンド株や不動産投資信託(REIT)の相場下落に歯止めがかからない。十日に不動産ファンド運営会社のアセット・マネジャーズが二〇〇八年二月期に初の最終減益になる見通しを示したことを引き金に、十一日は関連銘柄が軒並み制限値幅下限まで下落。東証REIT指数は昨年来安値を更新した。資金調達の難航で物件取得や売却戦略に影響が広がり、市場拡大が続いてきた不動産ファンドは私募と公募ともに曲がり角に差し掛かっている。

東証REIT指数
1年3ヵ月ぶり1700割れ
 東京証券取引所に上場する不動産投資信託(REIT)の値動きを示す東証REIT指数は十一日、前日比六三・三三ポイント(三・七%)低い一六七〇・五二まで下げ、一年三カ月ぶりに一七〇〇を割り込んだ。指数の低下は八営業日連続。信用収縮の影響で投資家離れに歯止めがかからない。
 東証REIT指数は外国人投資家が買い進んだ昨年前半に急上昇し、五月末に昨年来高値の二六一二を付けた。八月に米住宅ローン問題が拡大すると急落し、九月以降は一八〇〇台を挟んで一進一退が続いていた。投資口(株式会社の株式に相当)価格の下落で、時価総額の合計は昨年五月の七兆円弱から四兆六千億円まで縮小した。
 収益源の不動産賃料は都市部のオフィス物件を中心に堅調で「収益面からは説明がつなかないほど割安な水準」(大和総研の鳥井裕史アナリスト)だ。ただ信用収縮の影響で金融機関の融資姿勢が慎重になっており、下位REITを中心に資金調達コストが上昇している。昨年前半まではカネ余りがREITの不動産購入を後押ししていた面もあり、成長力に陰りが出ている。

2008年01月12日