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継続企業の前提に関する監査基準の改定について(2009/06)

JICPAジャーナル

シリーズ 会計・監査の実務アドバイス
<継続企業の前提に関する監査基準の改定について>
 平成21年4月9日、企業会計審議会から「監査基準の改訂に関する意見書」が公表され、当該意見書においては、継続企業の前提に関する監査の実施手続及び意見表明に係る現行規定の見直しが行われ、平成21年3月決算から適用されることとなった背景及び概要についての説明である。
 継続企業の前提に関する注記について、従来の監査基準及び財務諸表等規則等の下では、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在すれば財務諸表の注記が必要であると理解され、一定の事実の存在により画一的に注記を行うことが実務となっていたが、投資家に対してより有用な情報を提供するという観点から、国際会計基準及び国際監査基準との整合性等を踏まえ、見直しが行われた。
 旧財規の下では、貸借対照表日において、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在している場合には画一的に注記を求められるような実務となっていたが、新財規では、当該事象又は状況を解消し又は改善するための対応策を講じてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときのみに注記が要求されている。また、貸借対照表日後において、当該重要な不確実性が認められなくなった場合は、継続企業の前提に関する注記は要しないとされている。
 財務諸表に注記されない継続企業の前提に重要な疑義を生じさせうるような事象又は状況に関する情報は、有価証券報告書の「事業等のリスク」および「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載される。
 監査基準は、「…当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを確かめなければならない。」と改訂された。従来の「経営計画等の合理性」を検討するという表現が削除され、「対応策」を検討するとされている。監査手続における最大のポイントは、継続企業の前提に関する注記の要否は、一定の事実についてその対応策を勘案してもなお「重要な不確実性」が認められるか否かということであり、当該対応策を検討し意見表明の判断を行うことになる。

2009年06月30日