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学校法人委員会研究報告第13号「キャッシュ・フロー計算書導入に係る提言」の公表について(2009/07)

JICPAジャーナル

学校法人委員会研究報告第13号「キャッシュ・フロー計算書導入に係る提言」の公表について
 本提言の趣旨は、理事者に対して強く説明責任が求められる今日、社会的な要請に応じて会計基準の検討が必要になるが、その対応の一つとしてキャッシュ・フロー計算書の導入は急務と判断されるためである。
 すなはち、学校法人会計基準においては、当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容並びに当該会計年度における支払資金の収入及び支出の顛末を明らかにする書類として、資金収支計算書が長年にわたりその役割を果たしてきている。しかしながら、資金収支計算書からは、支払資金の収入及び支出の顛末は明らかになるものの、収入及び支出について調整計算を行っていることから、事実としての資金の増減に係る情報を直接把握することはできない。
 一方、キャッシュ・フロー計算書は、どのような種類の活動から資金を獲得し、どのような種類の活動に資金を使用しているかといった事実としてのキャッシュ・フローに係る情報を客観的に表すことから、学校法人の支払能力を知る上で、情報としての有用性が評価されているところである。
 さらに、企業会計基準におけるキャッシュ・フロー計算書導入後、国立大学法人会計基準、公益法人会計基準等他の会計基準において、次々にキャッシュ・フロー計算書が導入されている。他の会計基準に基づいて作成される財務書類との比較を行うという観点からも、学校法人会計基準にキャッシュ・フロー計算書を導入することが望まれるためである。
 本提言によるキャッシュ・フロー計算書の特徴は、
1. 表示方法として直説法を採用していること。
2. 利息及び配当金の受取額は、「施設等整備・投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載し、利息の支払額は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載する方法を採用していること。
3. 特定資産への支出及び特定資産からの収入を資金の動きとしてキャッシュ・フロー計算書上で認識すること。
4. 別会計となっている収益事業会計への資金の拠出を収益事業元入金支出として記載し、収益事業会計から受け入れた資金を収益事業収入として記載すること。
等があげられる。
 また、問題点としては、
1.資金の範囲として、学校法人会計基準で定める支払資金と同一としているため、他の会計基準で作成されるキャッシュ・フロー計算書の資金の範囲とは乖離が生じる。
2.同一の預入期間の定期預金を支払資金として保有している場合と特定資産として保有している場合とで資金の範囲が異なり、恣意性が介入する。
点があげられる。

2009年07月31日