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円続伸、一時84円台(日本経済新聞2009/11/27夕刊)

材料

円続伸、一時84円台
午後戻す、独歩高の様相に
 外国為替市場で円相場の上昇に歯止めがかからず、27日早朝に一時、14年4カ月ぶりの高値となる1ドル=84円82銭まで上昇した。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の資金繰り不安から、欧州や新興国経済の先行きに不安感が高まり、ユーロ売りが加速。円はドル売りだけでなく、ユーロ売りの受け皿にもなっており、円独歩高の様相が強まった。藤井裕久財務相の円高けん制発言で大きく値を戻す場面もあり、当局の介入姿勢を試しながらの神経質な取引が続いている。
ドバイ信用不安が影響
 27日早朝のシドニー市場で、円相場は前日の東京市場でつけた高値の86円29銭を突破すると、損失確定のドル売りを巻き込みながら一気に84円台まで上昇。1995年7月上旬以来の高値を付けた。午後1時15分現在は86円台前半で取引されている。
 円ドル相場はここ数日で円高・ドル安が加速していた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が24日発表した議事要旨で「秩序だったドル安」とドル安を容認する姿勢をにじませたのをきっかけに、ドルの先安観が強まり、円が買われた。さらに、中東ドバイの政府系持ち株会社「ドバイワールド」が債務の返済猶予を申請したのが材料視され、この日は新興国経済への不安感が急速に高まり、円を買う動きに拍車がかかった。
 中東への貸し出しの多い欧州銀への不安感も強まり、ユーロを売って円を買う動きも広がった。ユーロは対円で今年4月以来の安値となる、1ユーロ=126円台まで急落した。豪ドルや英ポンド、韓国ウォンなども対円で軒並み下落し、円は独歩高の様相を強めている。
 市場では「金融機関経営の健全性が比較的保たれている円が消去法で選ばれている」(外銀ディーラー)との声がある。急速な相場の変動に、ヘッジファンドや銀行ディーラーが、損失を確定させるために円を買い戻す動きもみられる。
 東京市場では藤井財務相の円売り介入を示唆する発言が伝わると、ヘッジファンドなどが利益を確定するための円売り・ドル買いに動き、円相場は86円台前半まで上げ幅を縮めた。ただ、当局の為替介入には「円高の速度調整はできても、相場を押し戻すことはできない」(国内銀行)との見方があり、効果を疑問視する市場参加者が多い。
政府、経済対策急ぐ
 平野博文官房長官は27日の閣議後の記者会見で、円高・ドル安について「急激な乱高下があるとすれば望ましいことではない。わが国の経済活動にも影響が出てくる」と懸念を表明した。そのうえで「政府としては為替の問題は注視している。二番底になんてならないように対応していかなければならない」と語り、菅直人副総理・国家戦略相を中心に追加経済対策のとりまとめを急ぐ考えを示した。
 円高に伴う株安の傾向には「色々な要因があると思うが、経済対策を含めてしっかり対応する」と強調した。為替介入の可能性には「コメントを差し控える」と述べた。
 菅戦略相は記者会見で、株価下落は「円高の影響と思っている」と指摘。2009年度第2次補正予算に関しては「効果が短期間で必ず出るというところまで自信はないが、ワイズスペンディング(賢い支出)と言われるように変えることが(景気の)下支え、向上につながる」と語った。

2009年11月27日