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包括利益開示義務付け(日本経済新聞2009/12/22)

IFRS関係

会計基準委、包括利益開示義務付け
債券の保有区分変更延長せず
11年3月期から
 上場企業の会計基準を作る企業会計基準委員会は21日、新しい利益項目である「包括利益」の開示を盛り込んだ公開草案を可決した。2011年3月期から上場企業に義務付ける。企業が保有する資産の値動きを損益計算書に反映させ、決算の透明性を高める。金融危機後の混乱を受けて債券の保有区分の変更を認めてきた措置について、10年3月末の期限を延長しないことでも暫定合意した。
 包括利益は企業の最終的なもうけを示す純利益に、(1)持ち合い株式の含み損益の変動額(2)海外子会社投資の円換算の変動額(3)ヘッジ(損失回避)取引の含み損益の変動額を加えて算出する。上場企業は(1)損益計算書の1番下に包括利益の金額を表示する(2)包括利益計算書を別に作成する、のいずれかを選べる。
 包括利益の公開草案は今週末にも発表する。関係者のコメントを募集し、必要があれば修正を加えたうえで、10年3月までに最終基準を確定。11年3月期から上場企業に開示を義務付ける。早期導入に取り組む場合、本決算が11年3月期の企業は10年4~6月期の四半期決算から、本決算が10年6月期以降の企業については6月以降に最初に迎える本決算から適用を認める方針。
 国際会計基準(IFRS)はすでに包括利益の開示を義務付けている。会計基準委による日本基準と国際基準の違いをなくす「共通化(コンバージェンス)」の作業がさらに前進する。
 この日の委員会では、債券の保有区分の変更を認める措置に関して、10年3月末を期限とすることでも暫定合意した。金融危機の緊急対応として、会計基準委は08年12月から金融機関などが保有する債券について時価評価が求められる「その他有価証券」から、理論価格で処理できる「満期保有」などへの保有区分の変更を認めてきた。
 ただ適用事例が一部の金融機関に限られているほか、債券市場が落ち着いてきたことを踏まえ、10年4月以降は保有区分の変更を認めない方針。来年3月までに最終合意したい考えだ。

包括利益の表示を巡る今後の日程   
2009年12月   公開草案を可決
10年2月まで   関係者のコメントを募集
10年3月末まで  最終的に基準を決定
10年6月末~   11年3月期本決算企業は10年4~6月期の四半期決算から早期適用可
本決算が10年6月期以降の企業は6月以降に迎える最初の本決算から早期適用可
11年3月~    すべての上場企業に開示を義務付け

2009年12月22日