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ウィルコム、支援機構活用(日本経済新聞2010/01/15)

企業再生

ウィルコム、支援機構活用
再建へ最終調整
ソフトバンク出資
PHS事業継続
 PHS最大手のウィルコムは公的機関の企業再生支援機構を活用して再建を目指す方向で最終調整に入った。機構に加え、ソフトバンクと投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が出資を検討。ウィルコムと機構は取引金融機関に対し数百億円規模の債権放棄を求める見通し。ウィルコムは私的整理の一つ事業再生ADR(裁判外紛争解決)の手続き中だが、再建計画作りが難航しており、機構の下で早期再建を目指す。
債権放棄 金融機関に要請へ
 機構はすでにウィルコムの資産査定を終えており、正式な申請を受けて支援決定の是非を判断する。ウィルコムは約430万人のPHS加入者を抱え公共性の高い通信事業を手掛けるため支援に応じるとみられる。ウィルコムはサービスを継続する。機構としては日本航空に続く2件目の案件となる見通し。
 ウィルコムには米投資ファンドのカーライル・グループが60%、京セラが30%、KDDIが10%を出資している。
 機構などが検討中の事業再生計画案によると、機構の支援決定後にウィルコムは100%減資を実施。その後、機構とソフトバンク、APの3者が出資する。出資額や出資比率は調整中だが、機構が筆頭株主になる見通し。現在の役員は大半が退任する。
 携帯電話3位のソフトバンクは株主としてウィルコムと連携、同社が手掛ける通信速度の速い次世代PHSを軌道に乗せて加入者を拡大したい考え。ウィルコムとソフトバンクの加入者を合わせると約2600万人となり、2位のKDDI(加入者約3140万人)との差を縮められる。
 ウィルコムは三菱東京UFJ銀行やみずほコーポレート銀行など約30の金融機関から2009年9月末で総額935億円の借り入れがあるが、事業再生ADR手続きに入ったことで返済を一時凍結している。支援決定後に機構は、銀行団に対し貸出債権の一部放棄を求める方針で、銀行団と調整を続けている。
 ウィルコムは携帯電話との競争激化で加入者の減少が続いている。09年4~9月期の最終利益は18億6800万円(08年4~9月期比1・4%増)と黒字だが、過去の設備投資などに伴う約1300億円の有利子負債(9月末、社債含む)が重荷になっている。
 今春から次世代PHSの本格展開を予定しているが、5年間で1400億円を投資する計画で資金繰りも大きな課題。機構の支援を受けることで再建スピードを上げる。
ウィルコム
 DDI(現KDDI)が1994年に設立したPHS最大手のDDIポケットが前身。2004年10月に米投資ファンドのカーライル・グループと京セラが約2200億円で買収した。非上場。09年3月期の連結売上高は約2030億円、最終利益は約61億円。09年12月末のPHS加入件数は約430万件で、08年12月末に比べ27万件減少した。日本航空の最高経営責任者(CEO)兼会長に内定しており、DDI創業者である稲盛和夫・京セラ名誉会長が取締役最高顧問を務めている。PHSは携帯電話に比べ通信速度が遅く、加入者の獲得に苦戦している。

2010年01月15日