2010年02月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28            

日航更生法申請、なぜ8700億円債務超過に(日本経済新聞2010/01/20)

企業再生

Q&A
日航更生法申請
なぜ8700億円債務超過に
保有資産、時価評価で目減り
正味の「価値」で弁済額協議
 日本航空は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。財務状況について論点を整理した。
 Q 企業再生支援機構の事業再生計画によると、日航は8676億円の債務超過になる見通し。なぜ突然、巨額債務超過に陥るのか。
 A 日航が2009年11月に発表した09年4~9月期連結決算の自己資本は1375億円。この時点では企業が営業を続けるという前提で決算書を作っており、飛行機の機材など会社の資産は利用価値があるものとして、一定のルールに従って会計処理し、貸借対照表に計上している。
 ところが会社更生手続きに入ると、評価基準が一変する。事実上、新しい会社として再生させるうえで債権債務関係を整理する必要があり、保有資産についても現在の「時価」で評価し直すことになる。
 大半は「すぐ処分できる価格で再評価する」(事業再生に詳しい弁護士)という。この結果、会社の総資産の額は大きく減り、負債が資産を上回る「債務超過」の状態に陥る例が多い。ただ、支援機構によると日航の債務超過額は年金制度を継続すると、現在の予想より減るとしている。
 Q 再評価の作業は誰が担うのか。
 A 通常は裁判所が選んだ管財人が手掛ける。日航のケースでは支援を決めた企業再生支援機構が精査している。会社の正味の「価値」を見極めた後、債権者らが集まって会社が抱える債務の弁済額などを協議して決めていく。
 Q 決算をチェックする監査法人の役割は。
 A 監査基準に定められた手続きに沿って適正に監査していれば問題はない。日航は09年4~9月期連結決算の短信と四半期報告書で「経営継続上のリスクがある」との注記を開示。監査人である新日本監査法人も監査報告書で注記を付けた上で決算は「適正」との見解を表明した。
 Q 過去には破綻や公的支援を受けたことがきっかけで粉飾決算が見つかった事例もある。
 A 1990年代には山一証券、ヤオハンジャパンなどで経営破綻後に粉飾決算が明らかになった。株主などが損害賠償請求を求めたが、その後、和解している。2004年に産業再生機構が支援を決めたカネボウの場合、厳格な査定が行われ、その過程で粉飾が発覚。当時の経営陣や担当会計士の責任が問われた。
<日航の財務状況>

2010年01月20日