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そごう・西武4店閉鎖へ(日本経済新聞2010/01/27)

企業再生

セブン&アイ
そごう・西武4店閉鎖へ
西武有楽町、年内に
 セブン&アイ・ホールディングスは傘下のそごう・西武の4店舗を閉鎖する方針を固めた。まず西武有楽町店(東京・千代田)を年内に閉鎖するほか、そごう呉店(広島県呉市)など地方店3店も閉鎖する方向で検討する。収益性が悪い百貨店事業の縮小でグループの経営効率を高める。再編・統合が進んできた百貨店業界だが、市場はさらに縮小する見通しで今後も閉鎖が全国に広がりそうだ。(百貨店の再編・統合は3面「きょうのことば」参照)=関連記事3面に
 西武有楽町店の閉鎖は27日に発表する。同店は1984年の開業で、店舗面積は約1万5000平方メートル。2009年2月期の売上高は前の期比9%減の約160億円。高額品の不振からピーク時の約6割まで低下し、赤字が続いている。
 このほか、そごう呉店、同西神店(神戸市)、西武沼津店(静岡県沼津市)の3店舗は、早ければ11年2月期中にも閉鎖する。3店は年商が90億~150億円、店舗面積は1万~2万平方メートルで百貨店としては小規模。地方経済の低迷などから販売不振に苦しんでいる。
 また、そごう川口店(埼玉県川口市)と西武高槻店(大阪府高槻市)は、「ユニクロ」などの専門店を大幅に導入することで運営を効率化する。
 06年にセブン&アイの傘下に入ったそごう・西武は全国に28店舗を展開する。三越伊勢丹ホールディングスなど四大百貨店では最も店舗数が多い一方、不採算店も目立ち、昨年はそごう心斎橋本店(大阪市)を大丸に売却し、西武札幌店(札幌市)も撤退した。

西武有楽町店閉鎖へ
大手百貨店統合後の主な店舗閉鎖

セブン&アイ
旗艦店に集中へ
百貨店事業、テコ入れ急ぐ
 セブン&アイ・ホールディングスが百貨店の店舗リストラを急ぐのは、収益の足を引っ張る事業を放置していては、グループ全体に影響が及びかねないという危機感があるからだ。同社の株価は現在2000円前後と、2006年にそごう・西武を買収した当時の半分以下に低迷しており、株式市場からも経営効率化を強く求められている。
 セブン&アイの10年2月期の業績はコンビニエンスストア、スーパー、百貨店の主要3事業がいずれも営業減益となる見通し。利益の8割を稼ぐコンビニ事業は前期比6%減益とまだ底堅いが、百貨店事業は67%の大幅減益の見込みだ。
 そごう・西武の買収に投じた金額は2000億円超で、セブン&アイにとって過去最大のM&A(合併・買収)案件。高級衣料を扱う百貨店のノウハウをイトーヨーカ堂などに取り入れてグループ全体を活性化する思惑だった。ところが金融危機などで急速に消費が冷え込んだ08年後半以降、状況は一変した。
 09年に入り、そごう心斎橋本店(大阪市)を大丸に売却するなど、大胆な店舗リストラに着手した。消費者の節約志向に対応して、セブン&アイの低価格のプライベートブランド(PB=自主企画)商品を導入。「赤ちゃん本舗」といった専門店を誘致するなど、グループ力を総動員して百貨店のてこ入れを目指しているが、明確な収益改善効果は表れていない。
 減益基調に歯止めをかけるには、百貨店最多の28店舗の店舗網を整理することが不可欠だ。安定した利益が見込める西武池袋本店(東京・豊島)や、そごう横浜店(横浜市)などの大型店に経営資源を集中する戦略が今後は鮮明になりそうだ。

百貨店の再編・統合
きょうのことば
▽…百貨店業界は景気低迷などの影響で市場規模が13年連続で縮小しており、効率化に向けたM&A(合併・買収)が加速している。2003年6月にそごうと西武百貨店が統合したのを皮切りに、07年には大丸と松坂屋が、08年には三越と伊勢丹がそれぞれ統合した。高島屋は阪急阪神百貨店と11年中の統合を予定する。
▽…いずれも統合後に不採算店の整理に着手しており、Jフロントは3店、三越伊勢丹も5店の閉鎖を決めた。低価格衣料専門店の攻勢など高額品主体の百貨店の存在感が薄まるなか、今後も生き残りをかけた店舗閉鎖や再編が加速しそうだ。
統合した主な大手百貨店

2010年01月27日