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カネボウ粉飾、公認会計士4人逮捕――東京地検特捜部、債務隠し関与の疑い。(日経新聞2005-09-13)

公認会計士の職業倫理

 カネボウの粉飾決算事件で、会計監査を担当した中央青山監査法人に所属する公認会計士が粉飾に深く関与した疑いが強まり、東京地検特捜部は13日、会計士で同監査法人代表社員、佐藤邦昭(63)ら四容疑者を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。佐藤容疑者らは、カネボウの実際の財務状況を知りながら粉飾に主体的にかかわっていたという。
 この事件も同じ会計士が長期間にわたって同じ会社の監査を担当していることが、問題のようです。被監査会社と会計士の癒着は、個人会計事務所に限らず大監査法人においても存在するようです。この点、担当会計士のローテーション制度がもっと早く導入されていればこの事件は発生していなかったかもしれません。また、監査責任者の世代交代が進めば会計士と被監査会社との関係も変わって来るかもしれません。
 ところで、カネボウの不正を見落としたのか、見逃したのか、積極的に関わったのかわかりませんが、こうなるとこの会計士たちに味方する者はいなくなってしまいます。会計士協会から処分を受け、金融庁の処分を受け、カネボウから損害賠償請求され、株主から損害賠償請求され、逮捕されて刑務所生活です。今や会計監査人はハイリスク・ローリターンな職業です。中央青山は大監査法人ですからカネボウ以外にもたくさん問題を抱えているのではないでしょうか。中央青山ももうすぐなくなってしまうかもしれません。

 創業百十年以上の歴史を持つ老舗企業を舞台にした巨額粉飾事件は、日本を代表する大手監査法人に所属する会計士の刑事事件に発展。会計監査のあり方が、改めて厳しく問われそうだ。
 ほかに逮捕されたのはいずれも公認会計士で、同監査法人代表社員、徳見清一郎(58)、同、神田和俊(55)、同法人社員、宮村和哉(48)の各容疑者。特捜部は同日、証券取引等監視委員会と合同で、同監査法人の本部(東京・千代田)など関係先の家宅捜索を始めた。
 調べによると、佐藤容疑者らは、同社元社長、帆足隆(69)、元副社長、宮原卓(63)の両被告=証取法違反罪で起訴=と共謀し、二〇〇二年三月期の連結決算が実際には約八百十九億円の債務超過だったのに、約九億円の資産超過とした虚偽の有価証券報告書を作成。〇三年三月期も約八百六億円の債務超過を約五億円の資産超過と偽った報告書を作成し、それぞれ関東財務局に提出した疑い。
 関係者によると、同容疑者らは両期の決算前に、帆足、宮原両被告と繰り返し面会。資産超過の決算を組みたいとの意向を伝達され、監査報告書で両期の決算について適正意見を出したという。
 特捜部は、佐藤容疑者らが経理担当常務(59)=同法違反容疑で逮捕、処分保留で釈放=からカネボウの財務状況の説明を受けるなどした際、実際には債務超過状態にあることを認識していたにもかかわらず、帆足被告らの意向に沿う形で資産超過を装った虚偽の報告書の作成に協力した疑いが強いとみている。
 特捜部と監視委は七月、帆足被告らの自宅のほか、関連先として同監査法人の本部を家宅捜索し、関係書類を押収。佐藤容疑者らから事情を聴くなど捜査を進めてきた。
 カネボウは今年四月、〇四年三月期まで五年間の粉飾総額が約二千百五十億円に上るとする社内調査の結果を公表し、五期分の決算を訂正。調査結果によると、一九九六年三月期時点で既に連結債務超過に転落していた。
 昨年九月にはカネボウ株主らが、代金の回収見込みがないのに子会社だった大阪府内の毛布メーカーを支援する取引を続けてカネボウに損害を与えたとして、帆足被告ら旧経営陣九人に十億円の賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に提訴した。

2005年09月13日