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認定こども園、縦割り見直し(日本経済新聞2010/01/26)

その他

認定こども園
縦割り見直し
 厚生労働省と文部科学省は2010年度に、幼稚園と保育所の機能を持つ「認定こども園」の制度改正に乗り出す。現在は幼稚園、保育所にそれぞれ必要な会計書類の作成をどちらか一方で済むようにし、運営事業者の負担を軽減する。また、幼稚園教諭免許と保育士資格を相互に取りやすくするため、資格取得の条件を緩める。ただ幼稚園と保育所の一体化を推進するには、規制が厚労、文科両省にまたがる弊害を見直し、さらなる緩和を求める声も多い。
会計書類一本化■相互に職員資格
厚労・文科省が規制緩和
「幼保一元化」を推進
 認定こども園は学校法人や社会福祉法人が幼稚園と保育所を同じ施設で運営しているケースが多い。しかし学校法人は文科省、社会福祉法人は厚労省と所管が分かれ、幼稚園は学校法人会計基準に基づく会計書類を、保育所は社会福祉法人会計基準による書類を作成するよう義務付けられている。
 このため、両方の施設を運営する事業者は補助金や資金収支、貸借対照表などについて2つの会計基準に沿った書類を、別々に作成しなければならない。文科省、厚労省の縦割り行政による事務負担の重さが普及の妨げとも指摘され、こども園は09年4月時点で358カ所と政府が11年度に目標とする2000カ所にはほど遠い。
 こうした状況を踏まえ、両省は10年度から幼稚園と保育所を兼営していても一つの法人会計基準だけで会計書類を作成すればよいことにする。こども園の設置を促す狙いで、文科省は3月末までに学校法人会計基準に関する省令を改正。厚労省も同時期に社会福祉法人会計基準に関する通知を改正する。
 10年度からは施設で働く人に必要な資格の取得条件も緩和する。現在は幼稚園教諭免許をもつ人が保育士資格を取る場合、保育原理や児童福祉など8科目の試験を受ける必要がある。厚労省は保育士養成校で指定科目を習得した人には8科目の試験を免除するよう、通知を改正する。ベテランの幼稚園教諭などが保育士資格を取りやすい環境を整える。
 ただこども園の普及には、今回の規制緩和だけでは十分とはいえず、課題を指摘する声も多い。
 例えば幼稚園が保育所を新設する場合、調理室の設置が義務付けられており、数千万円の投資負担を理由に参入に二の足を踏む事業者が目立つ。保育所の運営単価は規模が大きくなるほど下がるため、一体運営するメリットも少ない。職員1人当たりの子どもの数や保育室の面積など国の最低基準も残したままだ。
 政府は昨年12月の緊急経済対策に「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」を明記。幼稚園と保育所の垣根を低くし、厚労省と文科省の所管分野を一つにする「幼保一元化」まで踏み込んで議論できるか。待機児童の解消の実現には大胆な改革が求められる。
▼認定こども園
 就学前の子どもに幼児教育と保育を提供する施設。2006年10月にスタートした。厚生労働省と文部科学省が制度を運営し、都道府県が認定。入園希望者は園に直接申し込む。幼稚園と保育所が連携する「幼保連携型」、幼稚園が共働き世帯の子どもを預かる「幼稚園型」、保育所が幼稚園機能を備える「保育所型」、国の認可のない地域の教育・保育施設が必要な機能を果たす「地方裁量型」の4種類。
認定こども園の件数

2010年01月26日