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会計基準来年からこう変わる(3)「純資産の部」新設――財務指標の見直し必要(日経新聞2005/12/21)

会計基準関係

 貸借対照表(バランスシート)の株主資本の部分が様変わりする。現行の「資本の部」(株主資本)を廃止、代わりに「純資産の部」を新設する。三月期決算企業では二〇〇七年三月期から適用する。企業の利益には影響が出ないが、現行の「資本の部」を基に算出する株主資本利益率(ROE)などの財務指標は、過去の数値との整合性がとれなくなる。定義や算出方法を見直さなければならない。
 「純資産の部」はこれまで「負債の部」に計上していた新株予約権や、資本と負債の間の「中間区分」に計上していた少数株主持ち分を含む。あいまいだった資本と負債の区分を明確にし、国際的な会計基準の流れに合わせる狙いがある。純資産の中には、資本金などで構成する「株主資本」という項目を新設する。現行の株主資本とは内容が異なるため、新基準の導入当初は混乱が生じかねない。
 純資産には、現行の株主資本よりも多くの項目を含むため、金額が膨らむことが予想される。新設する純資産を分母に、ROEなどを算出すると、現行の株主資本を基にはじいてきた財務指標と連続性がなくなる。
 日本証券アナリスト協会が公表している意見書によると、「純資産の部」から少数株主持ち分を除いたものをベースに経営指標などを算出することを提案している。
 来年五月の会社法の施行後に終了する決算期から新基準は適用になる。一番早い企業で、〇六年五月期から新基準のバランスシートに変わる。異なる数値を基に算出した同じ名称の経営データが市場にはんらんするのを避けるために、市場での統一した意見形成を急ぐ必要がある。

2005年12月21日